こんにちは。以前地下アイドルの記事を書いたのですが
https://twitter.com/kamennkousi1/status/747151215255920640
と、案外好評だったのでまた書こうかと思ったのですが私が知ってるアイドルは、私が何かしらに携わってたので露骨に紹介すると、「色んな方面から身バレしちゃうかも」とビビってしまったのでアイドルの話はやめておきますね(笑)
その代わり今回は私がカメラやってた頃、初めてMVの現場に連れて行ってもらった時の事を書こうと思います。
現場に行ったきっかけ
今からもう5年とか6年位前の話で、当時いわゆる制作系な現場に入ったことも(興味も)ありませんでしたが、とある現場でA監督に出会いました。
話を聞くとA監督は腰が抜けそうな程すごい人でした。「◯◯(超有名アーティスト)のMVとかさ~、△△(超有名ゲーム)とかのOPとかさ~」とバンバン聞いたことある人や物の名前が出てくる出てくる。
あんまり詳しく書くと監督が特定されそうなのでもうやめておきましょう()ともかく、その監督さんと知り合った日に「今度MVの現場あってアシスタント(AD的な)くらいやってく?」とお誘いを頂いて、その3日後(本当に)にお邪魔させてもらいました。
向かった先は山の中
とりあえず朝6時に某県のとある駅に来るように言われて、A監督に拾ってもらって向かったのはとんでもない山の中。*1
アシスタントカメラでもアシスタントディレクターでも何でもできるようにテープやらなんやらをごっそり腰にくっつけて行ったけどスタジオじゃなかった..。
今回のMVは森の中を探検する的なストーリーがあるために山ということだそう。生い茂る木をかき分けて田舎の山を登ると確かに良い場所。映画やドラマでも出てきそう。(どうやってこんな所を探してロケハンしたの..)
車が入り込めない場所のため、車からロケ地まで結構離れていて、一通りの機材を制作スタッフ全員が抱えてもはや「登山」。某世界の果てまで行って系のスタッフもびっくりな山でした。
制作詳細
話に入る前にこのMVの詳細を。
撮影時期は12月。アーティストはインディーズのバンド2人。
バジェット(予算)がそんなに出ないのでカメラはEOS 5DMark2とEOS 7D、各種レンズに三脚とスライダー等。ただしリップシンク*2パートとは別に、間に挟むストーリパートもあるためバンドの2人とは別に演者を複数名手配。
スタッフはA監督の他にカメラマン1人とそのアシスタント2人。
外野は地権者のおじさん(途中で寒いと言って帰った)と、アーティストの所属する事務所の社長とレコード会社の担当さん。外野が少なくて良い。*3
外部レコーダーも当時使えなかった*4けど納品されたものは、画が壊れず破綻しないギリギリを攻めたのか、ものすごく綺麗にグレーディングされていた..。(Youtubeにも未だに存在するけど何故か360pだしここで貼ると身バレするので貼らない..(笑))
ワカくんの仕事は「火を切らさない事と山火事にしないことね」
山の中に一通りの機材を運んだ我々。こじんまりとした山小屋の中で撮影の打ち合わせと急遽参加した私の自己紹介を済ませた後、A監督から任された今日の仕事は「火を切らさない事と山火事にしないことね」と言われました。
一瞬意味がわからなかったけど台本を見るとアーティストが焚き火をするカットと、焚き火がギリ見える角度からのリップシンクのカットがある。これは夜にならないと撮れないし、そもそも寒いからスタッフが暖を取ったりアーティストが待機中も火を囲む。
そして冬の山だから山火事にはするなよ、ということだそう。納得。(あれっ、これって誰でも出来るんじゃ)
実はスモークマシン代わりでもある
森の不気味な雰囲気や木漏れ日はスモークを焚かないと演出できないということで、焚き火で煙を出しました。バジェットの関係でジェネレータ(発電機)と照明はどこから持ってきたのか分からないけど無料、でもスモークマシンは流石に無料では無理だったそうでレンタルしてきたのはちゃっちいタイプのもので、監督が「今日はスモークマシンに頼らないで焚き火の煙で頑張ろう」ということだったので私も煙を出そうと頑張る。田舎だからどれだけ煙を出しても通報されないし。
雰囲気的にはこのMVの最初のカットみたいな感じで使えました。
(発煙筒みたいなの持って走ってるカットあるけど我々も発煙筒で良かったんじゃ….)
演者さんの待機場所・焚き火前
ストーリーパートの演者さんは自分の出番でない時は待っているしかありませんが、何分にも山小屋が狭くアーティストも演者もとなると入りきらないため演者さんは焚き火の前でスタンバイ。MVの撮影というのは香盤(スケジュール表)があるものの、殆どの現場で意味のない物になる*5(時間が押しまくる)ので演者さんやアーティストが飽きてきているのも察しつつ、機嫌を取るのも私の仕事。
でも後々こういうところで喋った経験とかが活きたりしてるので良かったなと。
クランクアップ後は
制作スタッフとして行ったはずがそれっぽいことをせず一日ずっと薪を焼べてるだけで終わりいつの間にかクランクアップ。時間はテッペンを回って夜1時。
山の中に小川があったのでペットボトルに水を汲んで土を被せて消火。
おわり
ここまで書いておいてオチがないという。
その後、A監督にはちゃんと制作スタッフとして数本仕事をもらいました。おしまい。
余談ですが脚注機能を使えるようになったのでどうでも良いことをどんどん書きました。
*1:勿論地権者には撮影許可を貰っている
*2:いわゆる口パク。現場で予めカットごとに切っておいた音源を再生して撮影、編集時に音楽と口の動きを合わせて完成。
*3:韓流スターとかの撮影だとこうはいかない。アーティスト1人に対して「お前誰だよ」っていう韓国人が沢山来る。現場で騒ぐのはやめてね。
*4:いくらグレーディングしたいからと圧縮されていない映像を取り出すのにHDMIのレコーダーを使いたくても5DMark2のHDMI出力からは480pの画が吐き出されて且つ色んな枠等が写り込んだものしか出てこない仕様だった。それに安定して動きそうなレコーダーも当時少なかった。
*5:監督が照明の微妙な当たり具合や機材のセッティングに時間が掛かける場合が多いため。機材が大きくなればなるほど大変だけど、演者からすればそんなこと分からず早くしてくれと絶対思ってる。ひどいと楽屋の中で寝やがったりして更に時間が押す悪循環になるため機嫌取りが大事。