夜になると思い出す。父親の怒鳴り声。
何に怒っていたか分からない。分からないけど、私を殴った。
明日はきっと家族全員笑顔で居られる。
明日はきっと優しい友達が作れる。
今日はきっと悪い夢を見ているんだ。
そう思ってた。
夜になると、布団に入ると、毎日毎日しくしく泣いてしまう。
何年か前までは友達が少なかったけど居たのを思い出して。
みんな私の過去を知っていた。聞かれたから教えた人、聞かれてないけど一方的に教えた人。色々居たけど、話を聞いてくれる人は居た。
「辛かったら話を聞くよ?」
みんなそう言ってくれた。
嬉しかった。
だから辛いことはいっぱい聞いてもらった。
私のような人間の辛いことには答えがない。何が正しいか、間違ってるかなんて誰もわからないから、みんな面倒くさがった。
次第に私から人が離れていった。
私にとってはたった数人の友達だったけど、相手にとっては大勢のうちの一人だった。
しかも相手にとってみれば、私はハズレの友達だったと思う。
ずっとずっとそばに居てくれる人が欲しかった。
きっと私と他の人とでは生きてる世界が違うんだろうね。
駅やショッピングモールに行けばそこは、私が悲しい気持ちでも、他の人の楽しい幸せな気持ちとが、紛れも無くそこに、同じ時間に存在していて、私を苦しめる。
楽になりたい。
ずっとそばに居てくれる人が欲しい。
誰かに愛されたい。
でも無理だから、
私は空を飛びたい。
どこか、綺麗な場所で。